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核酸医薬

がん幹細胞・抗がん剤耐性がん細胞に効果を示す老化関連マイクロRNA

AMEDにて悪性胸膜中皮腫を対象とした革新的抗腫瘍核酸医薬の開発中

 

核酸医薬

当研究室では、老化を誘導するmicroRNAの細胞老化における役割とがん細胞に対する影響を解明するために研究を行っています。また、抗がん作用を持つ小分子RNAの核酸医薬品としての開発も目指しています。

がん抑制機構としての細胞老化 

近年、前がん性の腫瘍組織に老化細胞が存在することが明らかとなりました。老化細胞は腫瘍の前がん部で観察されますが、悪性腫瘍部では観察されません。このような知見から、細胞老化はがん発症の初期過程においてがん化を防ぐ働きをもつのではないかと言われています。この細胞老化のがん抑制機構としての働きはがん治療に有用ではないか、と私たちは考えました。そこで現在当研究室では、細胞老化を制御する因子としてmiRNA に注目し、miRNA経路を介したがん抑制機構の解明と治療への応用を目指しています。

 

老化を誘導するmiRNAを難治性がんの治療に応用する 

これまでに当研究室では、乳がん細胞に老化を誘導し、増殖や転移能などを抑制するmiRNAとして、miR-22を同定しました。現在では、このmiR-22の核酸医薬としての応用の可能性と共に、更に強力な抗腫瘍核酸医薬の開発を目指しています。その中で、我々はがん幹細胞および抗がん剤耐性がん細胞の双方に効果を示す核酸医薬の開発を、この老化関連マイクロRNAを用いて進めています。

                                         

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構AMED「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」(北海道大学拠点)関連シーズ

「橋渡し研究戦略的推進プログラム」シーズBでの研究開発

悪性胸膜中皮腫は胸腔内面を覆う一層の中皮細胞に発生する腫瘍であり、アスベスト吸入が発生に密接に関係しているが、その発生メカニズムは解明されていません。アスベスト暴露から悪性胸膜中皮腫の発症までの潜伏期間は30〜40年とされており、今後新たな発症は年々増加すると推測されており、現状3,000人であるが、今後6万人規模までに増加することが予測されています。また、悪性胸膜中皮腫の治療は、化学療法と手術であるが、何れの場合も治療成績が良好でなく、その革新的治療方法が期待されている。悪性胸膜中皮腫の治療は、化学療法と手術であるが、何れの場合も治療成績が非常に悪く、その革新的治療方法が期待されている。そこで、本研究は患者数が少ない現時点にその治療法として進めるため、抗腫瘍薬の開発を行うものです。

これまでの我々の研究成果で、miR-22が各種がんに対して老化を誘導することで顕著な腫瘍抑制効果を示す基礎研究成果(JCB 2011)を見いだしました。この老化誘導型のシーズ強化を目的に、網羅的な老化誘導マイクロRNAの同定を行う基礎研究を推進し、miR-22よりも強力に抗腫瘍効果を示すシーズとして、マイクロRNAシーズの同定に成功しました。 これらの新規シーズは、がんの再発および根治の原因と考えられている「がん幹細胞」と「抗癌剤耐性のがん細胞」の両方に効率的に抗腫瘍効果を示す画期的なシーズでです。一方で、核酸医薬品において、標的臓器へのデリバリーがないことが課題であり、また既存の抗癌剤と優位性を持ち合わせることが重要です。我々は、株式会社スリー・ディー・マトリックスのDDSであるA6Kを用いた核酸医薬の開発を進めています。この核酸医薬を、悪性胸膜中皮腫を対象として研究を進めていますが、悪性胸膜中皮腫以外のこれまでに検討したがん細胞種では、何れのがん種でも顕著な抗腫瘍効果を示す上に、がん幹細胞と抗癌剤耐性がん細胞のいずれにも顕著な細胞致死性効果を示し、画期的な核酸医薬抗癌剤として期待しています。

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