Hiroshima University Institute of Biomedical & Health Sciences
Department of Cellular and Molecular Biology
Principles of the DSE-FRET assay. (a) In the absence of target protein, strand exchange between D1 and D2 will occur and fluorescence will be elevated. (b) In the presence of target protein, strand exchange will not occur and fluorescence will remain quenched.
Dose-dependent suppression of DNA strand exchange by p50. (a) Five microliters of 40 nM NF-D1 was mixed with 5 μL of 0 nM (open circles), 400 nM (open squares), 800 nM (closed squares), 1600 nM (open triangles), or 3200 nM (closed triangles) p50 and incubated for 30 min. Then, 40 μL of 10 nM NF-D2 was added and fluorescence was measured; thus, the final concentrations of p50 were 0, 40, 80, 160, and 320 nM, respectively. Closed circles with a dotted line represent NF-D1 alone.
DSE-FRET assay
DSE-FRET assay は田原研で開発した評価方法です。(特許番号:S2008-0245)
この方法はDNAと結合するタンパク質の結合能を簡便に測ることが出来るため同じ評価方法として知られているEMSA法よりもハイスループットに適した方法です。
図(Miyagi, T. et al., Cancer Sci., 2014, 105: 870-874)より、化合物を加える事でタンパク質がDNAとの結合を阻害され不安定な四重鎖構造から二本鎖構造へと鎖交換反応(DNA Strand Exchange-DSE)が起こります。そうすることで消光物質と蛍光物質が四重鎖構造の時には蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer-FRET)により蛍光を発しませんが、二本鎖構造になることで消光物質が他の鎖に移るため距離が離れ蛍光物質が蛍光を発します。
簡潔に言い直しますと、化合物を加えて蛍光を示せば、その化合物はタンパク質を阻害していることが考えられます。
実際に、私たちのグループではテロメア配列に特異的に結合し染色体の保護に重要なTRF2と、がんの悪性化に関わっているという報告が多いNFk-Bの阻害剤を探索するためにこの方法を用いています。
理化学研究所や産業技術総合研究所の化合物ライブラリー約3万化合物を用いてDSE-FRET assay を行うことで、有力な阻害化合物を見つけ出す事に成功しています。
またこの方法はDNAと結合するタンパク質であれば応用が可能なため、がんの悪性化やその他の疾患に関わるDNA結合タンパク質を阻害する化合物の探索を行うためのツールとして、非常に有用な方法として注目されています。
(2015年度 バイオビジネスアワードJAPAN 彩都賞 受賞)
文責 城間